ライカS3はライバル機種に勝てるか?中級者向けフルサイズ一眼レフカメラの比較レビュー
目次
比較概要
ライカS3は2020年3月に発売されたフルサイズ一眼レフカメラです。ライカのSシリーズは中判カメラのような高画質と操作性を目指しており、プロや上級者向けの高級機種です。しかし、その価格は約100万円と他のフルサイズ一眼レフカメラと比べてもかなり高額です。では、ライカS3はその価格に見合うだけの性能や特徴を持っているのでしょうか?
この記事では、ライカS3と同じくらいの価格帯で人気のあるフルサイズ一眼レフカメラであるキヤノンEOS-1D X Mark IIIとニコンD6と比較してみます。それぞれのカメラのスペックや機能、画質や操作性などを詳しく解説し、メリットとデメリットをまとめます。最後に、どのカメラが自分に合っているかを判断するためのポイントをお伝えします。
ライカS3はライバル機種に勝てるのでしょうか?それとも負けてしまうのでしょうか?この記事を読んで、あなたのカメラ選びに役立ててください。
比較表
カメラ | ライカS3 | キヤノンEOS-1D X Mark III | ニコンD6 |
---|---|---|---|
画素数 | 6400万画素1 | 2020万画素2 | 2070万画素3 |
撮像素子 | 中判サイズ/45mm×30mm/CMOS1 | フルサイズ/36mm×24mm/CMOS2 | フルサイズ/35.9mm×23.9mm/CMOS3 |
感度 | ISO 100~500001 | ISO 100~102400 (拡張: ISO 50~819200)2 | ISO 100~102400 (拡張: ISO 50~3280000)3 |
連写速度 | 約3コマ/秒1 | 約16コマ/秒 (光学ファインダー使用時) 約20コマ/秒 (ライブビュー使用時)2 | 約14コマ/秒 (光学ファインダー使用時) 約10.5コマ/秒 (ライブビュー使用時)3 |
動画撮影 | Cine 4K (4096x2160)24fps フルHD (1920x1080)30fps1 | 4K (4096x2160)60fps フルHD (1920x1080)120fps2 | 4K (3840x2160)30fps フルHD (1920x1080)60fps3 |
液晶モニター | 3型 92.16万ドット1 | 3.2型 210万ドット 可動式タッチパネル2 | 3.2型 235万ドット 固定式タッチパネル3 |
ファインダー | ペンタプリズム 0.87倍 98%1 | ペンタプリズム 0.76倍 100%2 | ペンタプリズム 0.72倍 100%3 |
バッテリー | BP-PRO1 専用電池1 | LP-E19 専用電池2 | EN-EL18c 専用電池3 |
サイズ・重量 | 160x120x80 mm 約1260g1 | 158x168x83 mm 約1440g2 | 160x163x92 mm 約1270g3 |
比較詳細
ライカS3は、ライカのカメラにおける最上位システムとして2020年に発売された、プロ向けの中判一眼レフカメラです。前モデルのライカS(Typ007)からセンサーの画素数が3750万画素から6400万画素に大幅にアップグレードされ、圧倒的な高解像度を実現しています。また、4K動画撮影も可能になり、スチルカメラの付加機能という域を大きく超えたレベルへと強化されました。
ライカS3は中判デジタルカメラでありながら、光学ファインダー式の一眼レフカメラとしても、うまくパッケージされています。重心バランスが良く持ちやすく、手の中で収まりがいい。よく考えられたデザインであることが伝わってきます。ファインダーを覗き、ミラーが上がり、シャッターが切れて被写体を捉えていく一連の手応えは、ミラーレスカメラとは大きく異なります。ゆえに、「これでなくては」というプロカメラマンの存在には納得がいきます。
ライカS3の描写力はどこまでも拡大できそうなほど豊富な情報量があり、そのまま立体感にもつながっています。画素数もさることながら、レンズが見せる解像力の味わいとも言えるでしょう。カメラ側の絵作りはコントラストが低めで、影をつけて立体的に見せるというよりも、グラデーションの多さで丸みを感じる描写です。画作りの傾向は、ライカSL系とも繫がるライカらしさを感じさせるものですが、中判ボディあるライカS3は、35mmフルサイズボディであるSL/SL2からさらにひとつ上の画を見せてくれるような印象です。
使い方と操作性
ライカS3は、要素を最小限に絞り、直感的に操作できるようにするという操作コンセプトが採用されています。右手の親指で操作しやすい位置にクリックホイールと5方向に操作できるジョイスティックが配置されており、背面モニターのメニュー画面から撮影に関する設定を行うことができます。また、背面モニターの左右には、4つのメニューボタンも配置されており、露出補正やAF/MFの切り替え、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定に直接アクセスできます。メインスイッチで、フォーカルプレーンシャッターとセントラルシャッターの切り替えも簡単に行えます。
ライカS3は、光学式ファインダーに加えてライブビュー機能で作画を確認できるほか、動画撮影機能も搭載しています。動画撮影では、撮像範囲をフルに活用しながらシネマ4K動画も撮影できるようになりましたので、ミドルフォーマット特有の優れた画質でのシネマ4K映像表現が可能です。動画フォーマットはMOV(Motion JPEG)で、Cine 4Kでは4096×2160p / 24fps、Full HDでは1920×1080p / 24・25・30fpsの解像度とフレームレートが選択できます。
ライカS3は、テザー撮影に使えるLeica Image Shuttleが付属しており、それを使ってパソコンからリモート操作をして、その画像をUSB3.0でパソコンに転送できます。また、Wi-Fiを使って、アプリのLeica FOTOS 2.0からリモート撮影することもできます。Leica FOTOS 2.0は、ライカS3とスマートフォンやタブレットをBluetoothやWi-Fiで接続し、カメラの設定や撮影データの確認や転送などを行うことができるアプリです。Leica FOTOS 2.0はApp StoreやGoogle Playから無料でダウンロードできます。
メリットとデメリット
ライカS3は、プロフェッショナルな中判一眼レフカメラとして、多くの魅力を持っています。しかし、それと同時に、一般的なユーザーにとっては、気になる点もあるかもしれません。ここでは、ライカS3のメリットとデメリットをまとめてみました。
メリット
- 圧倒的な高解像度:ライカS3は、6400万画素のライカ プロフォーマットセンサーを搭載しており、35mm判カメラよりも56%も大きな撮像素子で、鮮明で豊富な情報量のある画像を撮影できます。また、ダイナミックレンジが15ストップまでと広く、シャドウ部分とハイライト間の階調を非常に豊かに表現します。
- 優れた描写力:ライカS3は、高品質な素材にこだわり熟練の職人によるクラフトマンシップで緻密に作り上げられたライカSレンズとの組み合わせで、優れた描写力を発揮します。色合いや肌のトーン、コントラストの優れた再現性、シャープな解像感、美しいソフトなボケ味など、ミドルフォーマットならではの見え味を実現します。
- シンプルで直感的な操作性:ライカS3は、要素を最小限に絞り、直感的に操作できるようにするという操作コンセプトが採用されています。右手の親指で操作しやすい位置にクリックホイールと5方向に操作できるジョイスティックが配置されており、背面モニターのメニュー画面から撮影に関する設定を行うことができます。また、背面モニターの左右には、4つのメニューボタンも配置されており、露出補正やAF/MFの切り替え、ISO感度、ホワイトバランスなどの設定に直接アクセスできます。
- 柔軟な撮影スタイル:ライカS3は、光学式ファインダーに加えてライブビュー機能で作画を確認できるほか、動画撮影機能も搭載しています。動画撮影では、撮像範囲をフルに活用しながらシネマ4K動画も撮影できるようになりましたので、ミドルフォーマット特有の優れた画質でのシネマ4K映像表現が可能です。また、テザー撮影やリモート撮影も可能であり、さまざまな撮影シーンや目的に応じて柔軟な撮影スタイルが楽しめます。
デメリット
- 高価で重い:ライカS3は、プロフェッショナルな中判一眼レフカメラとして、高価で重いのは仕方がないと言えますが、それでも一般的なユーザーにとっては、気軽に手に入れられるものではありません。ライカS3の本体価格は約1,800万円(税別)で、ライカSレンズも高価です。また、ライカS3の本体重量は約1.26kgで、レンズを付けるとさらに重くなります。持ち運びや持ち上げるのにも負担がかかります。
- 低速で騒音が大きい:ライカS3は、光学ファインダー式の一眼レフカメラとしても、うまくパッケージされていますが、それでもミラーの動作による騒音や振動は避けられません。また、ライカS3の連写速度は約3コマ/秒と低速であり、高速な被写体の追従やスポーツ撮影などには向きません。バッファ容量も約6コマと少なく、連写撮影を続けるとすぐに満杯になってしまいます。
- 画像処理が遅い:ライカS3は、6400万画素の高画素データを処理するために、画像処理エンジン「LEICA MAESTRO II (ライカ・マエストロ・ツー)」を搭載していますが、それでも画像処理に時間がかかります。特に動画撮影では、シネマ4K動画を撮影すると、その後数分間はカメラが応答しなくなります。また、画像データの転送や保存も時間がかかります。
まとめ
ライカS3は、プロフェッショナルな中判一眼レフカメラとして、圧倒的な高解像度と優れた描写力を持っています。また、シンプルで直感的な操作性と柔軟な撮影スタイルも魅力的です。しかし、高価で重いことや、低速で騒音が大きいこと、画像処理が遅いことなど、気になる点もあります。
ライカS3は、ミドルフォーマットならではの見え味を追求するプロカメラマンや、高画質で美しい作品を作りたい写真家におすすめのカメラです。一方、気軽に持ち運んだり、高速な被写体を撮影したりすることが多いユーザーや、動画撮影に重点を置くユーザーには、ライカS3はあまり向いていません。
ベストチョイスは、ライカS3です。ライカS3は、ミドルフォーマットのメリットを最大限に活かすことができるカメラであり、ライカらしい色合いや肌のトーン、コントラストの優れた再現性、シャープな解像感、美しいソフトなボケ味など、他のカメラでは得られない描写力を持っています。また、シンプルで直感的な操作性と柔軟な撮影スタイルも魅力的です。ライカS3は、高価で重いことや、低速で騒音が大きいこと、画像処理が遅いことなどのデメリットもありますが、それらを上回る価値があるカメラだと思います。ライカS3は、ミドルフォーマットの魅力を存分に味わえるカメラです。
引用
ライカS3のメーカーサイトはこちらです。
https://leica-camera.com/ja-JP/photography/cameras/s/s3-black