目次
比較概要
ライカSL2-S ボディは、2020年12月に発売されたフルサイズミラーレスカメラです。同じくライカのフルサイズミラーレスカメラであるSL2とは、撮像素子や動画性能などに違いがあります。今回は、SL2-Sの特徴や魅力を、同価格帯で人気のある他社製品と比較しながら紹介していきます。
比較対象として選んだのは、ソニーのα7R IVとパナソニックのLUMIX DC-S1Rです。これらは、SL2-Sと同じくLマウントを採用しており、約4000万画素以上の高画素センサーを搭載しています。価格もSL2-Sと近い範囲にあります(2023年3月14日時点で、価格.comによるとSL2-Sは679,250円、α7R IVは399,800円、S1Rは379,800円)。
それでは、SL2-Sがどのように他機種と差別化されているのか、詳しく見ていきましょう。
比較表
製品名 |
ライカSL2-S ボディ |
ソニーα7R IV ボディ |
パナソニックLUMIX DC-S1R ボディ |
価格(税込) |
679,250円1 |
399,800円1 |
379,800円1 |
発売日 |
2020年12月17日 |
2019年8月23日 |
2019年3月22日 |
撮像素子 |
35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー 2400万画素(有効) |
35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサー 6100万画素(有効) |
35mmフルサイズMOSセンサー 4720万画素(有効) |
レンズマウント |
Lマウント |
Eマウント |
Lマウント |
連写速度(最高) |
9コマ/秒(AF-S) 6コマ/秒(AF-C)
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10コマ/秒(AF-S/AE-S)
|
9コマ/秒(AF-S/AE-S)
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画面サイズ |
3.2型 |
3.0型 |
3.2型 |
画面ドット数 |
210万ドット |
144万ドット |
210万ドット |
電子ビューファインダー |
有機EL 576万ドット |
有機EL 576万ドット |
有機EL 576万ドット |
動画記録方式 |
MPEG-4/H.264/H.265 最大4K/60p 10bit 4:2:2(内部記録)
|
MPEG-4/H.264 最大4K/30p 8bit 4:2:0(内部記録)
|
MPEG-4/H.264 最大4K/60p 8bit 4:2:0(内部記録)
|
バッテリー寿命(CIPA規格) |
約510枚(液晶使用時)
|
約670枚(液晶使用時)
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約380枚(液晶使用時)
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外形寸法(幅×高さ×奥行き) |
146×107×42mm |
129×96×78mm |
149×110×97mm |
重量(バッテリー・メモリーカード込み) |
840g |
665g |
1020g |
比較詳細
ライカSL2-S、ソニーα7R IV、パナソニックLUMIX DC-S1Rは、いずれも35mmフルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラです。しかし、それぞれに特徴や強みがあります。ここでは、それらを詳しく比較してみましょう。
まず、画素数についてですが、ライカSL2-Sは約2400万画素、ソニーα7R IVは約6100万画素、パナソニックLUMIX DC-S1Rは約4700万画素となっています。画素数が多いほど、細かい部分まで描写できるというメリットがありますが、逆にノイズやデータ量の増加などのデメリットもあります。そのため、画素数だけで画質を判断することはできません。
実際に撮影した作例を見てみると、ライカSL2-Sは裏面照射型のセンサーを採用しており、高感度性能とダイナミックレンジの向上を実現しています。色味や階調も豊かで、ライカらしい美しい写りが楽しめます2。ソニーα7R IVは高画素センサーの恩恵で解像力が非常に高く、細部までシャープに描写できます3。色再現も自然でリアルな印象です。パナソニックLUMIX DC-S1Rは高解像モードを使うと約1億8700万画素相当の超高画質な写真が撮れます。通常モードでも解像力や色彩表現は優れており、高品位な画質が得られます。
操作性と機能
次に、操作性や機能についてですが、ライカSL2-Sは堅牢性の高いフルメタルのボディにシンプルなインターフェースを備えています。タッチパネル式の液晶モニターや有機ELの電子ビューファインダーも見やすく操作しやすいです。瞳AFや動体追従AFなどのAF性能も向上しており、被写体に合わせて快適に撮影できます。動画撮影にも最適化されており、最大4K/60p 10bit 4:2:2(内部記録)の高品質な映像が撮れます。
ソニーα7R IVはコンパクトなボディに多彩な機能を詰め込んでいます3。リアルタイム瞳AFやリアルタイムトラッキングなどの先進的なAF技術で被写体を逃しません。液晶モニターは可変式でタッチ操作にも対応しており、電子ビューファインダーは576万ドットの高精細な画面です3。動画撮影では最大4K/30p 8bit 4:2:0(内部記録)の映像が撮れますが、HDMI出力で4:2:2 8bitにアップできます。
パナソニックLUMIX DC-S1Rは耐久性や防塵防滴性能に優れたボディに、直感的な操作性を提供するダイヤルやボタンを配置しています。液晶モニターは三軸可変式でタッチ操作にも対応しており、電子ビューファインダーは576万ドットの高精細な画面です。AF性能も高く、動体追従や顔・瞳認識などの機能があります。動画撮影では最大4K/60p 8bit 4:2:0(内部記録)の映像が撮れますが、HDMI出力で4:2:2 8bitにアップできます。
ライカSL2-Sは、ライカLマウントを採用しています。このマウントは、ライカSLシステムのレンズだけでなく、ライカTLシステムやパナソニックLUMIX Sシリーズ、シグマfpシリーズなどのレンズもそのまま使えます。さらに、専用のアダプターを使えば、ライカMシステムやライカRシステム、ライカSシステムなどのレンズも使用できます。ライカSL2-Sは、ライカの歴史と伝統を受け継ぐ豊富なレンズ群と互換性があります。
ソニーα7R IVは、ソニーEマウントを採用しています。このマウントは、ソニーFEシステムやソニーEシステムのレンズが使えます2。また、他社製のアダプターを使えば、キヤノンEFシステムやニコンFシステムなどのレンズも使用できます。ソニーα7R IVは、多様なレンズ選択肢があることが魅力です。
パナソニックLUMIX DC-S1Rも、ライカSL2-Sと同じくライカLマウントを採用しています。したがって、同じレンズ群と互換性があります。パナソニックは、LUMIX S PROシリーズやLUMIX Sシリーズとして自社製のレンズも展開しており、高品質な光学性能や防塵防滴性能を備えています。
価格とコストパフォーマンス
最後に、価格とコストパフォーマンスについてですが、ライカSL2-Sはボディのみで約68万円、ソニーα7R IVは約40万円、パナソニックLUMIX DC-S1Rは約43万円となっています(2023年3月14日現在)。画素数や機能面で比較すると、ソニーα7R IVやパナソニックLUMIX DC-S1Rの方がコストパフォーマンスが高いと言えるでしょう。
しかし、ライカSL2-Sはそれだけでは測れない魅力があります。それは、ライカ独自の色彩表現や美しいボケ味、堅牢で洗練されたデザインや操作性、豊富なレンズ互換性や動画撮影能力などです。また、ライカSL2-Sは定期的なファームウェアアップデートにより機能向上が期待できるほか、「Leica FOTOS」アプリによりモバイル端末との連携も容易です。ライカSL2-Sは、高級感と信頼感を兼ね備えたプロフェッショナル向けのカメラです。
メリットとデメリット
ライカSL2-S、ソニーα7R IV、パナソニックLUMIX DC-S1Rのそれぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。
製品名 |
メリット |
デメリット |
ライカSL2-S |
- ライカ独自の色彩表現やボケ味が美しい
- ライカMレンズなど豊富なレンズ群と互換性がある
- 防塵防滴性能が高く、IP54の規格に合格している
- 動画撮影能力が高く、4K/60pや10bit記録が可能
- 高感度性能とダイナミックレンジが向上している
|
- 価格が高く、コストパフォーマンスが低い
- 画素数が4,730万画素と他機種より低い
- バッテリー持ちが良くない
- 内蔵GPSがなくなった
- ボディサイズが大きく重い
|
ソニーα7R IV |
- 画素数が6,120万画素と高く、高解像度の画質が得られる
- Eマウントレンズや他社製のアダプターを使えば多様なレンズ選択肢がある
- 瞳AFや動体追尾AFなどAF性能が高い
- 価格が比較的安く、コストパフォーマンスが高い
- ボディサイズが小さく軽い
|
- 色彩表現やボケ味に個性が少ない
- 防塵防滴性能が低く、規格に合格していない
- 動画撮影能力が低く、4K/60pや10bit記録ができない
- 高感度性能とダイナミックレンジが低い
- 操作性やデザインに改善の余地がある
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パナソニックLUMIX DC-S1R |
- 画素数が4,720万画素と高く、高解像度の画質が得られる
- LマウントレンズやライカSLシステムのレンズ群と互換性がある
- HDR撮影や6Kフォトなど独自の機能が豊富である
- 防塵防滴性能が高く、IP54の規格に合格している(一部レンズ使用時)1
- 動画撮影能力も高く、4K/60pや10bit記録も可能(一部オプション購入時)1
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- 価格が高く、コストパフォーマンスが低い
- AF性能が低く、瞳AFや動体追尾AFが不安定である
- バッテリー持ちが良くない
- 内蔵GPSがない
- ボディサイズが大きく重い
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まとめ
ライカSL2-S、ソニーα7R IV、パナソニックLUMIX DC-S1Rは、それぞれ異なる特徴を持つフルサイズミラーレスカメラです。どれがベストチョイスかは、あなたの撮影スタイルや目的によって変わりますが、私の個人的なおすすめは以下のようになります。
- ライカSL2-Sは、ライカ独自の色彩表現やボケ味が美しいことや、ライカMレンズなど豊富なレンズ群と互換性があることが魅力です。また、動画撮影能力も高く、4K/60pや10bit記録が可能です。価格は高いですが、高級感や個性を求める方におすすめです。
- ソニーα7R IVは、画素数が6,120万画素と高く、高解像度の画質が得られることや、Eマウントレンズや他社製のアダプターを使えば多様なレンズ選択肢があることが魅力です。また、瞳AFや動体追尾AFなどAF性能が高く、価格も比較的安いです。ボディサイズも小さく軽いので、持ち運びやすいです。コストパフォーマンスや汎用性を重視する方におすすめです。
- パナソニックLUMIX DC-S1Rは、画素数が4,720万画素と高く、高解像度の画質が得られることや、LマウントレンズやライカSLシステムのレンズ群と互換性があることが魅力です。また、HDR撮影や6Kフォトなど独自の機能が豊富であり、防塵防滴性能も高いです。動画撮影能力も高く、4K/60pや10bit記録も可能です(一部オプション購入時)。価格は高いですが、革新的な機能や堅牢性を求める方におすすめです。
以上のことから、私はライカSL2-Sをベストチョイスとしてお勧めします。理由は以下の通りです。
- ライカSL2-Sは、写真撮影と動画撮影の両方に優れた性能を発揮するカメラであり、クリエイティブな映像表現に最適です。
- ライカSL2-Sは、ライカ独自の色彩表現やボケ味が美しく、他のカメラでは得られない個性的な画風を楽しむことができます。
- ライカSL2-Sは、ライカMレンズなど豊富なレンズ群と互換性があり、さまざまなレンズでの撮影が可能です。
以上の理由から、「ライカSL2-S」は写真家はもちろん、ビデオグラファーやシネマトグラファーにも大きな可能性を提供するカメラだと思います。高級感や個性を求める方には、ぜひ一度手に取ってみていただきたいカメラです。
引用
今回比較した機種のメーカーサイトは以下の通りです。